君の時雨

二面性をもつそれが優雅に

僕の自由を奪った。

普遍が君の声を低くさせた。

 

催した吐き気を取り払ったからといって

心がこっちを向いてくれるわけじゃない。

 

僕が示した理解が、

僕の回復を妨げている。

 

十一時、自転車。

すれ違った彼らがひどく醜く見えたんだ。

彼らの漏らした声で

僕の僅かな白が

濁った気がした。

 

簡単に逃げた音は

君の鼓膜を震わせるだけ。

君は笑って、僕は無意識。

 

君の声が僕の鼓動をはやくさせるのに

僕のささやきは唐突として闇に消える。

 

権力が覆う空は

どうして君しか写さないんだろう。

 

幼稚なものとして手に収まる僕はきっと

君の玩具として僕を丸めてるんでしょう。

 

得意な二次関数が描いた忘却曲線

取り去るよりも優先する君が

ただ、僕を見て見ぬふりをする。

 

論理的に働いた脳は、

その答えを隠しちゃったみたいだ。

君が好きなあの子は

僕のことなんて知らない。

三点を結んでできた図形は

僕の存在を加味せずに、平和な円を描く。

 

愛に満ちた帰り道で、

僕の愛だけ空っぽなのは見間違いなんかじゃなくて

そんな僕を誰も見てくれやしないのは

きっと僕のせいで会って、がむしゃらに、ただ。

 

婉曲した読み手が受け手の意思を省略して、

枠に伝えた願望は

なぜか嫌味として消化されてる。

 

僕の景色と君の景色。

僕の価値を下らないと嘆く君の、

その主張に根拠が見えないのは、

僕が今快速に乗るのと関係があるのだろうか。

 

狭く感じた横顔は

行き先を指示して軽くあくび。

もう手に負えないって呆れた顔して

背中を押すだけなんて、

そりゃあ簡単だろう。

 

足りないって言うのもそうだろうよ。